4つの許可はそれぞれ別のことを許している

macOSには、アプリが個人データや画面の内容に勝手に触れないようにする仕組みがあります。重要な操作をするときは、アプリが利用者の許可を得る必要があります。許可の一覧は「システム設定」→「プライバシーとセキュリティ」で確認できます。

この一覧で混同されやすいのが、「フルディスクアクセス」「アクセシビリティ」「画面収録」「ファイルとフォルダ」の4つです。「ファイルとフォルダ」と「フルディスクアクセス」は、アプリが読めるファイルの範囲を決めます。「アクセシビリティ」は、アプリがMacを操作できるかどうかを決めます。「画面収録」は、アプリが画面の内容を取得できるかどうかを決めます。違いを知らないと、必要以上に広い権限を与えてしまうことがあります。逆に、必要な許可が足りないせいでアプリが動かないのに、原因が分からないこともあります。

この記事の項目名と手順は、執筆時点のmacOS Sonoma 14〜macOS Tahoe 26を基準にしています。macOS Sequoia 15以降では、「画面収録」が「画面収録とシステムオーディオ録音」という名前になっています。バージョンによって表記が違う場合があります。

許可の名前アプリにできるようになること許可を求めてくる代表的なアプリ
ファイルとフォルダデスクトップ、書類、ダウンロードなど、指定されたフォルダの読み書きエディタ、写真の整理アプリ
フルディスクアクセスメール、メッセージ、Safariのデータなど、保護された領域全体の読み取りバックアップソフト、セキュリティソフト、ターミナル
アクセシビリティほかのアプリのボタンやメニューの操作、キー入力やクリックの代行ウインドウ整理ツール、ランチャー、自動化ツール
画面収録画面やウインドウに表示されている内容の取得ビデオ会議アプリ、スクリーンショットアプリ、録画ソフト

ファイルとフォルダ:特定のフォルダだけを開ける許可

「ファイルとフォルダ」は、デスクトップ、書類、ダウンロード、iCloud Drive、外付けディスク(リムーバブルボリューム)、ネットワークボリュームについて、フォルダ単位でアクセスを許可する項目です。たとえば「“○○”が“書類”フォルダ内のファイルへのアクセスを求めています」というダイアログが出て、「許可」を選ぶと、ここに記録されます。

ただし、ファイルを開くたびに許可が必要になるわけではありません。「開く」ダイアログでファイルを選んだり、ファイルをアプリのウインドウにドラッグしたりした場合は、利用者が自分でそのファイルを渡したとみなされます。そのため、このダイアログは出ません。アプリがフォルダの中身を自分から読みにいくときにだけ、許可を求められます。

フルディスクアクセス:保護されたデータ全体を読める許可

フルディスクアクセスを許可すると、メール、メッセージ、Safariの履歴などのアプリデータ、Time Machineのバックアップ、一部の管理用設定にアクセスできるようになります。「ファイルとフォルダ」で個別に守られているフォルダも、この許可の範囲に含まれます。4つの許可のなかで、影響が最も大きいものです。

この許可は、ほかの3つと求められ方が違います。多くの場合、許可を求めるダイアログは出ません。アプリが案内画面を表示し、利用者が自分でシステム設定を開いてアプリをオンにするか、「+」ボタンで追加します。バックアップソフトは、Mac全体を漏れなくコピーするためにこの許可を必要とします。ターミナルで「~/Library/Mail」の中身を一覧表示しようとして「Operation not permitted」と表示される場合も、ターミナルにフルディスクアクセスがないことが原因です。

アクセシビリティ:ほかのアプリを操作できる許可

アクセシビリティは、もともと視覚や運動機能を補う支援技術のための仕組みです。この許可があるアプリは、ほかのアプリのボタンやメニューを読み取って操作したり、キー入力やクリックを代わりに行ったりできます。ウインドウを画面の半分に並べるツール、ランチャー、定型文を入力するツール、ビデオ会議で相手にMacを遠隔操作させる機能などが、この許可を使います。

許可を求めるダイアログには「アクセシビリティ機能を使用してこのコンピュータを制御することを求めています」と表示されます。表示された内容を読み取り、利用者の代わりに操作できる強い権限です。似た項目に「入力監視」があります。こちらは、どのアプリを使っているときでもキーボードの入力内容を受け取れる許可で、アクセシビリティとは別の項目です。

画面収録:画面に映っているものを取得できる許可

画面収録を許可すると、アプリは画面全体やほかのアプリのウインドウの内容を取得できます。ZoomやMicrosoft Teamsで画面共有をするとき、ブラウザ版のビデオ会議で画面を共有するとき(この場合はChromeなどのブラウザ自体に許可が必要)、他社製のスクリーンショットアプリを使うときに求められます。macOS標準のスクリーンショット機能(Shift+Command+5)には、この許可は必要ありません。

画面には、通知に表示されたメッセージや、パスワード管理アプリに表示した内容も映ります。そのため、この許可を与えたアプリは、画面に出た情報をすべて取得できると考えてください。macOS Sequoia 15以降では、許可したアプリについても、引き続き許可するかを定期的に確認するダイアログが表示されます。また、多くのアプリでは、許可したあとにアプリを再起動しないと設定が反映されません。

許可してよいかを判断する3つの基準

アプリの機能に必要な権限か

最初に、アプリの機能と求められた権限が結びつくかを確認します。ウインドウ整理ツールがアクセシビリティを求めるのは自然です。一方、壁紙アプリや電卓アプリがフルディスクアクセスや画面収録を求めるのは、機能から説明がつきません。説明がつかない場合は許可しないでください。

自分が操作した直後に求められたか

画面共有ボタンを押した直後に画面収録の許可を求められたのなら、その操作に必要な許可です。何もしていないときや、インストールした直後にいくつもの許可をまとめて求められた場合は、一度断ります。そのうえで、アプリの説明やサポートページで理由を確認します。

提供元がはっきりしているか

Mac App Storeのアプリや、開発元の公式サイトで配布されているアプリは、提供元を確認できます。出どころの分からない「クリーナー」や「高速化」をうたうアプリに、フルディスクアクセスやアクセシビリティを与えるのは避けてください。断っても後から許可できるので、迷ったときは「許可しない」を選んで問題ありません。

あとから許可を取り消す手順

  1. アップルメニュー→「システム設定」を開き、サイドバーの「プライバシーとセキュリティ」を選びます。
  2. 「フルディスクアクセス」「アクセシビリティ」「画面収録とシステムオーディオ録音」「ファイルとフォルダ」のいずれかをクリックします。
  3. 対象のアプリのスイッチをオフにします。管理者のパスワードまたはTouch IDを求められたら認証します。
  4. 一覧から削除したい場合は、アプリを選んで「−」ボタンを押します。

「ファイルとフォルダ」では、アプリ名の下にフォルダごとのスイッチが並んでいます。たとえば、ダウンロードフォルダへのアクセスだけをオフにすることもできます。取り消した直後は、アプリを終了してから開き直すと確実に反映されます。

ターミナルに慣れている人は、tccutil reset ScreenCaptureのようにコマンドを使って、画面収録の許可をすべてのアプリについてまとめてリセットすることもできます。リセットすると、各アプリは次に使うときにもう一度許可を求めます。

使わなくなったアプリの許可を見直す

許可は、アプリを使わなくなっても残ります。特にフルディスクアクセス、アクセシビリティ、画面収録の3つは影響が大きい許可です。macOSをアップデートしたときなどに一覧を開き、「今も使っていて、その機能のために必要なアプリか」を確認してください。答えがいいえならオフにします。必要になったときにアプリがもう一度許可を求めてくるので、そのときに改めて判断すれば十分です。