iPhoneやMacが急に重くなったときは、原因を決めつけずに、よくある原因で手間の少ないものから順に確かめます。各段階で症状が変わらなければ次の段階へ進みます。手順は iOS 26 と macOS Tahoe 26 の画面をもとにしています(執筆時点)。それ以降のバージョンでは、項目名や場所が変わっている場合があります。

アップデートや移行の直後なら一時的な処理を待つ

OSのアップデート直後、新しい端末へのデータ移行直後、バックアップからの復元直後は、裏で多くの処理が動きます。代表的なのは次の3つです。Spotlight(端末内の検索機能)が使う索引(インデックス)の作り直し、写真に写った人物や被写体の解析、iCloudとの同期です。この間は動作が重くなり、発熱やバッテリーの減りも早くなります。処理は数日で終わることが多いです。

早く終わらせるには、Wi-Fiにつなぎ、電源に接続したまま置いておきます。iPhoneの写真の解析は、ロックして充電しているあいだに進みます。あわせて、低電力モードがオンになっていないかも見ます。オンだと処理速度が抑えられます。iPhoneでは「設定」>「バッテリー」、Macでは「システム設定」>「バッテリー」で確認できます。再起動するだけで直ることもあるので、ここで一度試します。

Macではアクティビティモニタで処理の中身を見る

「アプリケーション」>「ユーティリティ」>「アクティビティモニタ」を開きます。「CPU」タブで「% CPU」の列をクリックし、使用率の高い順に並べます。上位に mds、mds_stores、mdworker(Spotlightの索引作成)、photoanalysisd、mediaanalysisd(写真の解析)、cloudd、bird(iCloudの同期)があれば、一時的な処理です。終了させずに待ちます。上位が特定のアプリなら「アプリやバックグラウンド処理の暴走」の節へ進みます。どれも低いのに遅い場合や、数日待っても変わらない場合は、次の空き容量を確認します。

ストレージとメモリが足りているか確かめる

iPhoneは「設定」>「一般」>「iPhoneストレージ」、Macは「システム設定」>「一般」>「ストレージ」で空き容量を確認します。空きが数GBまで減ると、OSが一時ファイルを置く場所が足りなくなり、動作が遅くなります。画面に出る推奨項目を使うと、手早く空きを作れます。iPhoneなら「非使用のAppを取り除く」、iCloud写真を使っている場合は「ストレージを最適化」です。

Macでは、アクティビティモニタの「メモリ」タブにある「メモリプレッシャー」のグラフも見ます。緑なら、メモリは足りています。黄色や赤が続く場合は、メモリが足りていません。このときMacは、足りない分をストレージで補う「スワップ」を使っていて、そのぶん遅くなります。開いているアプリやブラウザのタブを減らします。空きを作っても、メモリを減らしても変わらなければ、次へ進みます。

本体が熱くなっていないか確かめる

温度が上がりすぎると、iPhoneもMacも部品を守るために自動で処理速度を落とします。ケースを外して、直射日光の当たる場所や車内を避けます。布団の上など熱がこもる場所も避けます。充電しながらゲームや動画の書き出しをしている場合は、その作業を止めて冷めるのを待ちます。iPhoneが高温になりすぎると、温度の警告画面が表示されます。

Intelプロセッサ搭載のMacでは、アクティビティモニタの kernel_task のCPU使用率が高ければ、発熱を抑えるためにOSが処理を制限しているサインです。ファンのないMacBook Airも、重い負荷が続くと速度が落ちます。冷めて速度が戻るなら、原因は発熱です。冷めても遅いときや、何もしていないのに熱くなるときは、次の節へ進みます。

アプリやバックグラウンド処理の暴走を探す

iPhoneでは「設定」>「バッテリー」を開くと、過去24時間と過去10日間について、アプリごとの使用状況が出ます。ほとんど使っていないのに割合が大きいアプリや、バックグラウンドでの動作時間が長いアプリが怪しいです。そのアプリを終了してアップデートし、改善しなければ削除して入れ直します。「設定」>「一般」>「Appのバックグラウンド更新」で、そのアプリだけオフにする方法もあります。

Macでは、アクティビティモニタの「CPU」タブで、使用率が高いまま下がらないアプリを探します。見つかったらそのアプリを選び、ツールバーの停止ボタンから終了します。応答しない場合は強制終了します。起動のたびに同じ状態になるなら、「システム設定」>「一般」>「ログイン項目と機能拡張」を開き、不要な常駐ソフトを外します。

原因のアプリが特定できない場合は、Macをセーフモードで起動します。セーフモードでは、起動時に読み込むソフトが最小限になります。Appleシリコン搭載のMacは、電源ボタンを押し続けて起動オプションを表示し、起動ディスクを選んでShiftキーを押しながら「セーフモードで続ける」を選びます。Intel搭載のMacは、Shiftキーを押しながら起動します。セーフモードだと速い場合は、追加したソフトが原因です。セーフモードでも遅い場合は、次のバッテリーを確認します。

バッテリーの劣化による性能の制限を確かめる

iPhoneでは「設定」>「バッテリー」>「バッテリーの状態」を開きます。機種によっては「バッテリーの状態と充電」という項目名です。ここで「最大容量」と「ピークパフォーマンス性能」を見ます。劣化したバッテリーで突然シャットダウンした履歴があると、iPhoneは性能を抑える「パフォーマンス管理」を有効にします。その場合はこの画面にメッセージが表示されます。バッテリーの交換を勧めるメッセージが出ていれば、交換で速度が戻る見込みがあります。

Macでは「システム設定」>「バッテリー」を開き、「バッテリーの状態」の横にある情報ボタンを押します。表示が「修理サービス推奨」なら、交換を検討します。電源アダプタにつないだときだけ動作が安定する場合も、バッテリーの劣化が関わっている可能性があります。交換費用は機種や保証の加入状況で変わるので、Appleサポートで確認してください。

どれでも直らないときの再インストールと修理相談の目安

ここまで試しても遅い場合は、まずOSを最新版にアップデートし、バックアップを取ります。そのうえで、ソフトウェアを入れ直します。iPhoneは「設定」>「一般」>「転送またはiPhoneをリセット」>「すべてのコンテンツと設定を消去」を選びます。消去したら、バックアップから戻さずに、新しいiPhoneとしてしばらく使ってみます。この状態で速ければ、原因は移してきたデータかアプリです。Macは、macOSリカバリから「macOSを再インストール」を選びます。この方法ならユーザーのデータを残したまま、OSだけを入れ直せます。Appleシリコン搭載のMacは、電源ボタンを押し続けて「オプション」を選びます。Intel搭載のMacは、Command+Rを押しながら起動します。

次のどれかに当てはまる場合は、ハードウェアの故障を疑います。消去や再インストールの直後でも遅い場合、熱くないのに再起動を繰り返す場合、Apple Diagnostics(Mac内蔵の診断機能)でエラーが出る場合です。Apple Diagnosticsは、Appleシリコン搭載のMacなら起動オプションの画面でCommand+Dを、Intel搭載のMacならDキーを押しながら起動すると実行できます。修理を相談するときは、どの段階で何を試し、どう変わったかを伝えると話が早く進みます。